日産が1000CCを投入してきた
実は、トヨタは初めから1100CCのカローラを計画していたわけではなかった。一説によると、日産が1000CCを投入してきたので、「それなら」と急濾方針を変えて挑んだものであった。発売一ヶ月前の劇的方向転換だった。ここでもこの方針変更に際し、トヨタ生産方式が威力を発揮することになる。というのは、もし大量生産方式で1000CCのエンジンをつくり溜めしていたら、それを急に1100CCに切り替えることなどは不可能に違いない。
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だいいち、1000CCのエンジンがムダになる。ところが、トヨタはそのころにはすでにトヨタ生産方式が軌道化しはじめていたので、そもそも余分な在庫を持っていない。したがって、ストアーに補充してあるだけの1000CC用のエンジン部品を多少手直しすれば大半は生かすことができる。たとえば、エンジンのシリンダーの穴は、1100CCにするには、直径を少し広げなければならない。そんなときに活躍したのが、工場の隅ではこりをかぶって寝ている戦前からの古い機械だった。穴を広げるにはそれなりに設備の大改造が必要になる。穴の直径が大きいだけ機械の能力も下がる。そこで工程分割して、古い機械でできるところはこれに負荷させる苦肉の策を取った。ただ、こうした機械は戦前のものだけに、自動送りになっていない。